国立陽明交通大学 展覧会デザインキービジュアル|好心地文創

記憶の回廊:楽生療養院の傷と再生をめぐる没入型展覧会

展示会デザイン

国立陽明交通大学のために「楽生 in 陽明」を企画。楽生療養院にとって初めての院外展であり、療養院の木造回廊を会場内に再現することで、百年にわたる空間の記憶を展覧会全体に貫かせました。

課題

楽生療養院は、台湾におけるハンセン病医療史の百年の傷を刻んだ場所です。本展は楽生にとって初めての院外展であり、大学の芸術センターという場でいかに療養院特有の空間の空気を再現し、ハンセン病の歴史を正確に伝えながら偏見を解くか、そして苦しみを消費しないかが、企画上の核心的な課題でした。

目標

陽明大学芸術センターが求めていたのは、単なる資料展示ではなく、社会的な対話を呼び起こす特別展でした。楽生の人権問題を療養院の外へ、大学と社会へと届け、口述歴史・医療資料・保存運動という膨大な内容を空間デザインで受け止めることが目標でした。

アプローチ

  1. 会場内に楽生療養院の木造回廊を再現し、入院・医療・生活・保存運動という各展示区画をつなぐ空間の主軸としました。
  2. 入所者による口述歴史のサウンドインスタレーションを設置し、来場者が回廊を歩きながら本人の声による生の語りに触れられるようにしました。
  3. スタンプを集める体験型の「検査カード」と、入所者の住まいを再現した空間を設計し、一方的に見る展示から、身体を使って参加する展示へと転換しました。
  4. 入所者の肖像写真を、人影のように垂れ下がる巻物として展示し、歴史の語りに具体的で確かな人間の重みを与えました。

成果

楽生療養院にとって初めての院外展「楽生 in 陽明」は予定通り開催されました。木造回廊の再現に加え、サウンドインスタレーション、体験型の検査カード、住まいの再現という手法により、療養院の歴史は来場者が実際に歩き、対話できる没入体験へと変わりました。

  • 2025
  • クライアント国立陽明交通大学(National Yang Ming Chiao Tung University)
楽生 in 陽明展の会場全景、再現された木造回廊と展示パネル
会場全景:楽生の木造回廊を再現
木造回廊のクローズアップ、病症区と検査区を示す幕
木造回廊:病症区と検査区
来場者が言葉を残せるコメントステッカーウォール
見える楽生:来場者コメントウォール
「入院その日」展示区画のメインサインと歴史説明文
入院その日 展示区画
「吉光片羽」区画に垂れ下がる口述歴史の肖像巻物
吉光片羽:垂れ下がる口述歴史の巻物
「陽明と楽生」をテーマにした壁面、歴史説明文と院史資料の展示
テーマウォール:陽明と楽生

関連リンク

よくある質問

歴史展覧会の企画で、最も難しい点は何ですか。
正確な歴史的解釈と、来場者の共感をどう両立させるかが最大の難所です。苦しみを美化することも、消費することも避けなければなりません。好心地文創ではまず口述歴史や資料を丁寧に読み解いたうえで、空間の物語へと翻訳していきます。
大学の芸術センターで特別展を行う場合、どのような流れになりますか。
資料調査と素材の棚卸しに始まり、動線と展示区画の計画、ビジュアルと体験型装置の設計、そして現場での設営とテストまで一貫して伴走します。史実に忠実でありながら、来場者を引き込む展示になるよう全体を調整します。
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